Laboratory for Neurointelligence Engineering

人工生命 神経工学 認知工学 知能工学

神経知能工学研究室(工藤研究室)の究極のテーマは,意識と心を生み出す脳の機能を,工学的に<創って>明らかにすること

例えば,工学を駆使して脳の情報処理を明らかにする理学研究,生きている培養神経回路網とロボットやスマートスピーカーとを接続して小さな脳のモデルとするニューロロボティクス研究や,生体を模倣した人工知能を探究する研究を行っています.

一つの研究室の中で,細胞レベルと,ヒト/脳レベル,ソフトウェアレベルの研究をあわせて考え,<こころ>を生命から情報までひと続きの存在として理解することをめざします.精神とは?意識とは?という哲学的な追求のなかで、「脳が環境とインタラクションしたときに何が起こるのか?」「脳にとっての適切な環境とは何か?」といった広く人類に役立つ“知”と,そして人類の生活を豊かにする“技術”とが生み出されます.

生きた大脳の神経細胞を培養してつくった半人工的なネットワークで、脳の秘密に迫る.

生きた大脳の神経細胞でつくった半人工的なネットワークにも,何らかの「知性」や原始的な「こころ」が備わるのではないか?ラットの大脳海馬神経細胞を培養して作成した半人工的な神経回路網(ネットワーク)を材料にして,脳の機能原理を探究しています.その一例として神経電気活動と細胞のエネルギー源であるブドウ糖代謝との関係性を研究したり,神経活動パターンをとりだす情報処理手法を研究したりしています.生物学と情報科学を駆使して新しい発見を目指します.

ロボットと生体神経回路網を融合する ニューロロボティクス研究.

ニューロロボティクスの研究では,培養した神経回路網にロボットの体を与え,生物の簡単なモデルにします.神経知能工学研究室で開発しているニューロロボットは,生体神経回路網が主役で,これがロボットの動作を決定します.このような生体ロボットを,VITAENOID(ヴィタエノイド)と呼んでいます.生体神経回路網と小ロボットとをつないだVITAENOID-ANIMALISはロボットが障害物を避けて動き回ります.また,生体神経回路網とスマートスピーカーとをつないだVITAENOID-BABILONは培養細胞と人との会話を実現します.

これらの研究から,新しい生物型の知的情報処理技術や再生医療に役立つ神経接続技術が生み出されます.

脳機能を測定して,人の脳情報処理を読み解く.

認知科学は,人の脳情報処理の仕組みを心理学や脳機能計測によって明らかにする学問分野です.神経知能工学研究室では,ニセモノの腕やVR空間の腕を自身の本身の腕と錯覚するラバーハンド錯覚現象や,自分が身体の外にあるかのように感じる体外離脱体験など,意識に関わる感覚体験と脳機能との関係を研究しています.

また,ある技術を習得するときに,どのような方法で訓練するのが良いかという問題にも,脳機能の観点から取り組んでいます.

さらに,認知科学の工学的な応用として,脳から情報を読みとって電子機器を制御するブレイン-コンピュータ・インターフェイス(BCI)の研究も行っています.

脳情報処理を模倣した人工知能を探究して,知的機能とは何かを考える.

神経知能工学研究室では,生き物のような応答をするエージェントの開発など,知能工学分野の研究も行っています.

近年急速に発展した深層学習(ディープラーニング)などの機械学習,クラスタリング手法,ウェブサイトから情報を取り出すウェブスクレイピング等を組あわせ,膨大な情報空間から生命らしい何かが出現する仕掛けを考えながら,<知的>である機能とは何かを探究します.

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