98付録C ジョルダン標準形以下ではこれをもとに,pAが重根をもつときを考える.λ,µをpA(t)=0の解(pAの根)とすればpA(t)=(t−λ)(t−µ)(C.2)であり,(C.1)はつぎのようにもかける.(A−λI)(A−µI)=O.(C.3)よって重根の場合は(A−λI)2=O(C.4)が成り立つ.いまA−λI=OならAははじめからスカラー行列(単位行列のスカラー倍)だから,A−λIOとしよう.いま,A−λI=(υ1υ2)というようにA−λIを列ベクトルυ1とυ2とで表現してみるとυ1またはυ2はAの固有ベクトルになる.なぜならば,(C.4)より,(A−λI)(υ1υ2)=Oとなるからである.ここで∣∣∣A−λI∣∣∣=0であるから第4.3節定理4.3より,あるυ0が存在してυ1=sυ,υ2=tυとかけることがわかり,A−λI=(sυtυ)となる.よってどんなwも,A−λIでうつすとυの何倍かとなる.すなわち(A−λI)w=aυ.実際w=⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠とすると,(A−λI)w=(sυtt)⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=(sx+ty)υ=aυ,a=sx+ty,となる.すべてのwに対してa=0なら,A−λI=Oとなるのでa0としてよく,wをaでわったものをあらためてwとすれば(A−λI)w=υ(C.5)としてよい.このときkυ+lw=0となる数k,lが存在するなら,この式の両辺をA−λI倍してl(A−λI)w(=lυ)=0. ((A−λI)υ=0に注意)よってl=0,k=0,つまりυとwは基底をなし,∣∣∣υw∣∣∣0である.結局,υ,w(∣∣∣υw∣∣∣0)が(A−λI)w=υ,(A−λI)υ=0Allrightsreserved,OkadomeLab.
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