線形代数入門
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付録B 行列の演算と群95例3. 2×2型の行列のうち,逆行列をもつもの全体からなる集合をGとすると,このGは行列の乗法について群をなす.なんとなれば,(1)A∈G,B∈GならばA−1,B−1が存在し,第2章問題5によりB−1A−1がABの逆行列となるから,AB∈Gである.(2)行列の乗法では,一般に,結合法則が成り立つ.(3)2×2型の単位行列Iの逆行列はI自身であるから,I∈Gであり,任意のGの要素Aに対してIA=AI=A.(4)A∈GならばA−1は2×2型の行列であって,その逆行列Aをもつから,A−1∈Gである.例4. つぎの4つの2×2型の行列からなる集合⎧⎪⎪⎨⎪⎪⎩⎛⎜⎜⎜⎜⎝1001⎞⎟⎟⎟⎟⎠,⎛⎜⎜⎜⎜⎝0−110⎞⎟⎟⎟⎟⎠,⎛⎜⎜⎜⎜⎝−100−1⎞⎟⎟⎟⎟⎠,⎛⎜⎜⎜⎜⎝01−10⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎫⎪⎪⎬⎪⎪⎭が行列の乗法について群をなす.このことは,この4つの行列が左から順に,原点のまわりの0◦,90◦,180◦,270◦の回転を表わす線形変換の行列であることを考えれば,例2から明らかであろう.問1. 例4の群の単位元と,4つの要素それぞれの逆元をいえ.問2. つぎの2つの行列の集合が乗法について群をなすことをたしかめよ.⎧⎪⎪⎨⎪⎪⎩⎛⎜⎜⎜⎜⎝100−1⎞⎟⎟⎟⎟⎠,⎛⎜⎜⎜⎜⎝1001⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎫⎪⎪⎬⎪⎪⎭.Allrightsreserved,OkadomeLab.

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