線形代数入門
94/103

94付録B 行列の演算と群(1)Rβ◦Rα=Rα+β(図B.1)であるから,Rの任意の要素RαとRβに合成変換Rβ◦Rαを対応させる演算◦についてRは閉じている.(2)演算◦について,結合法則Rγ◦(Rβ◦Rα)=(Rγ◦Rβ)◦Rαが成り立つ.(3)平面上の各点を,その点自身に対応させる写像I(このような写像を恒等写像という.)は,R0と表わされるから,IはRの要素である.(4)Rの任意の要素Rθの逆変換R−θもRの要素である. 一般に,ある集合Gの任意の2つの要素a,bに対して定義された演算a∗bがつぎの性質をもつとき,Gは演算∗について群をなすという.(1)a∈G,b∈Gならばa∗b∈G.すなわち,Gは演算∗について閉じている.(2)Gの任意の要素a,b,cに対して(a∗b)∗c=a∗(b∗c).すなわち,演算∗について結合法則が成り立つ.(3)Gのなかに特定の要素eが存在し,Gの任意の要素aに対して,つねにe∗a=a∗e=aとなる.(4)Gの任意の要素aに対して,a−1∗a=a∗a−1=eとなるようなGの要素a−1が存在する.上の(3)における要素eをGの単位元といい,(4)における要素a−1をaの逆元という.Allrightsreserved,OkadomeLab.

元のページ  ../index.html#94

このブックを見る