80第5章固有値と固有ベクトルとなる.この両辺に左から(υ1υ2)−1をかけて対角行列(5.18)を得る.(υ1υ2)−1A(υ1υ2)=⎛⎜⎜⎜⎜⎝λ00µ⎞⎟⎟⎟⎟⎠.(5.18)(5.18)の右辺は(したがって左辺も),xy座標でA倍だった線形変換をυ1,υ2を基底とするst座標で表わす行列である((s,t)↦→(λs,µt)).一般にも,Aが表わす線形変換をυ1,υ2を基底とする座標でみると,Aが(υ1υ2)−1A(υ1υ2)に変換される.Aを可逆行列Pで「はさんで」P−1APを対角行列にすることをAの対角化という.固有ベクトルをならべたP=(υ1υ2)をとれればAは自然に対角化される((5.17),(5.18)).問1. 例2のAを(υ1υ2)を用いて対角化せよ.すなわち,P−1APが対角行列となることをたしかめよ.問2. 例3のBをP=(υ1υ2)を用いて対角化せよ.すなわち,P−1BPが対角行列となることをたしかめよ.5.5固有方程式と固有ベクトル固有ベクトルを求める方法を考えよう.υが固有ベクトルであるという式Aυ−λυ=0は,A=⎛⎜⎜⎜⎜⎝abcd⎞⎟⎟⎟⎟⎠とすれば⎛⎜⎜⎜⎜⎝abcd⎞⎟⎟⎟⎟⎠υ−⎛⎜⎜⎜⎜⎝λ00λ⎞⎟⎟⎟⎟⎠υ=⎛⎜⎜⎜⎜⎝a−λbcd−λ⎞⎟⎟⎟⎟⎠υ=0(5.19)である.固有ベクトルυは(方向を表わすために)0であってはならないが,A−λI=⎛⎜⎜⎜⎜⎝a−λbcd−λ⎞⎟⎟⎟⎟⎠(5.20)が逆行列をもてば,(5.19)に左からかけるとυ=0.よって固有値λの固有ベクトルがあるためには,(5.20)の行列式は0でなくてはならない.すAllrightsreserved,OkadomeLab.
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