線形代数入門
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第5章固有値と固有ベクトル79トルであり,法線ベクトルυ2=⎛⎜⎜⎜⎜⎝−sinθcosθ⎞⎟⎟⎟⎟⎠は固有値−1の固有ベクトルである((5.6)式参照).このように固有ベクトルは方向が重要で,長さは0でなければよい.例3. 曲線3x2−2xy+3y2=1を調べるのに用いたB=⎛⎜⎜⎜⎜⎝3−1−13⎞⎟⎟⎟⎟⎠, υ1=1√2⎛⎜⎜⎜⎜⎝11⎞⎟⎟⎟⎟⎠, υ2=1√2⎛⎜⎜⎜⎜⎝−11⎞⎟⎟⎟⎟⎠についてBυ1=2υ1, Bυ2=4υ2であり,υ1,υ2はBの固有ベクトルである.それに対し,Bの固有ベクトルではないベクトル,たとえば基本ベクトルe1=⎛⎜⎜⎜⎜⎝10⎞⎟⎟⎟⎟⎠やe2=⎛⎜⎜⎜⎜⎝01⎞⎟⎟⎟⎟⎠については,Be1=⎛⎜⎜⎜⎜⎝3−1⎞⎟⎟⎟⎟⎠,Be2=⎛⎜⎜⎜⎜⎝−13⎞⎟⎟⎟⎟⎠であり,e1とBe1はことなる向きで,e2とBe2もことなる向きである.例4. 単位行列については,0でないベクトルはすべて固有値1の固有ベクトルである.一般の2次行列Aでこのような固有ベクトルが2方向あったとして,それらをυ1,υ2とする.それぞれの固有値をλ,µとすればAυ1=λυ1, Aυ2=µυ2(5.15)である.2方向とは基底になるという意味で,υ1とυ2の間には∣∣∣υ1υ2∣∣∣0が成り立つ.(5.15)をならべて(Aυ1Aυ2)=(λυ1µυ2)(5.16)とかき,これからA(υ1υ2)=(λυ1µυ2)=(υ1υ2)⎛⎜⎜⎜⎜⎝λ00µ⎞⎟⎟⎟⎟⎠(5.17)Allrightsreserved,OkadomeLab.

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