第5章固有値と固有ベクトル77であるから,(5.8)から(5.10)への変形を行列で行なうと(XY)12⎛⎜⎜⎜⎜⎝11−11⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝3−1−13⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝1−111⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝XY⎞⎟⎟⎟⎟⎠=(XY)12⎛⎜⎜⎜⎜⎝11−11⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝2−424⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝XY⎞⎟⎟⎟⎟⎠=(XY)⎛⎜⎜⎜⎜⎝2004⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝XY⎞⎟⎟⎟⎟⎠=2X2+4Y2(5.14)となる.このように(5.13)の行列を対角行列に変形することが,2次曲線(5.8)の表示を標準形(5.10)にすることといえる.(5.12)で表わされるベクトルυ1=1√2⎛⎜⎜⎜⎜⎝11⎞⎟⎟⎟⎟⎠,υ2=1√2⎛⎜⎜⎜⎜⎝−11⎞⎟⎟⎟⎟⎠に,(5.13)中の行列A=⎛⎜⎜⎜⎜⎝3−1−13⎞⎟⎟⎟⎟⎠をかけても,やはりそれらとおなじ向きをもつベクトルになる.それら以外のベクトルυ0にAをかけたAυはυとことなる向きをもつ.その意味で,υ1とυ2は,行列Aにとって「Aに固有の」特別なベクトルである.υ1とυ2は,(5.13)で表わされる楕円の主軸を向くベクトルであることに注意してほしい.注. 一般に⎛⎜⎜⎜⎜⎝XY⎞⎟⎟⎟⎟⎠=⎛⎜⎜⎜⎜⎝abcd⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠(X=ax+by,Y=cx+dy)を横ベクトルで表わすと,(XY)=(xy)⎛⎜⎜⎜⎜⎝acbd⎞⎟⎟⎟⎟⎠(bとcがいれかわる).これが関係式のかきかえ(5.11)↔(5.11’)をあたえる.A=⎛⎜⎜⎜⎜⎝abcd⎞⎟⎟⎟⎟⎠に対し,A⊤=⎛⎜⎜⎜⎜⎝acbd⎞⎟⎟⎟⎟⎠とかき,Aの転置行列という.ベクトルυ=⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠に対してもυ⊤=(xy)とかくと,上の事実は(Aυ)⊤=υ⊤A⊤と表わせる.A=A⊤である行列を対称行列という.(5.8)を(5.13)のようにかくとき,⎛⎜⎜⎜⎜⎝3−203⎞⎟⎟⎟⎟⎠などでなく対称な⎛⎜⎜⎜⎜⎝3−1−13⎞⎟⎟⎟⎟⎠に選ぶと,変数変換しても対称なままであるなど都合がよい.υをベクトル,Aを対称行列としたとき(5.13)の左辺のようなυ⊤AυAllrightsreserved,OkadomeLab.
元のページ ../index.html#77