線形代数入門
72/103

72第5章固有値と固有ベクトルつまり,点をとめて座標系を回転するとき,新しい座標は逆回転で得られる(図5.2).点は動かさず座標軸をθだけ回転させることは,座標軸はそのままで−θだけ点を回転(逆回転)させたことと,移動後の座標成分でみればおなじことになる.この関係を一般に表わすのが(5.4)である.問1. つぎのベクトルの組はR2の基底か.(1)⎛⎜⎜⎜⎜⎝12⎞⎟⎟⎟⎟⎠,⎛⎜⎜⎜⎜⎝24⎞⎟⎟⎟⎟⎠. (2)⎛⎜⎜⎜⎜⎝cosθsinθ⎞⎟⎟⎟⎟⎠,⎛⎜⎜⎜⎜⎝−sinθcosθ⎞⎟⎟⎟⎟⎠.問2. 基底f(π3)1,f(π3)2に関するつぎの点の座標を求めよ.(1)P(1,0). (2)Q(−1,1).注. 第3章では線形変換としての点の回転を考えた.それに対しここの例1では,点は動かさずに座標軸の回転を考えている.もとの点の座標(x,y)を回転後の点の座標(x′,y′)に変換する点の回転行列は⎛⎜⎜⎜⎜⎝cosθ−sinθsinθcosθ⎞⎟⎟⎟⎟⎠であるのに対し,座標軸の回転による新しい座標を,もとの座標軸での座標に結びつける行列は⎛⎜⎜⎜⎜⎝cosθsinθ−sinθcosθ⎞⎟⎟⎟⎟⎠となる.点の回転の場合,回転前後ともおなじ座標軸での座標成分であるのに対し,座標軸の回転では,前後の座標が,ことなる座標軸での同一の点の座標成分であることに注意してほしい(図3.3と図5.2の左図参照).5.2直線に関する折り返し原点をとおる直線についての折り返しを表わす行列を求める.図形的な方法などさまざま考えられるがここではベクトルを用いる.図形的な求め方については,巻末練習問題Aの7を参照.直線lをy=xtanθとし,υ1をlの方向ベクトル,υ2をこれと直行する法線ベクトルとしよう(図5.3の上図).lについての折り返しとはυ1をそのまま(1倍)に,υ2を−1倍にする(5.5)という変換fである.この変換fは,平行四辺形を平行四辺形にうつすから線形変換で,これをf(υ)=Aυと表わすAを求める.Allrightsreserved,OkadomeLab.

元のページ  ../index.html#72

このブックを見る