線形代数入門
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第5章固有値と固有ベクトル71り立つとはいえなくなる.この条件を移項して「(s−s′)υ1+(t−t′)υ2=0ならばs=s′,t=t′」としたのが(5.2)である.基本ベクトルe1,e2はもちろんR2の基底である.さて,−−→OP=xe1+ye2が,υ1,υ2を基底とする座標系では(5.1)で表わされるとしよう.(5.1)の右辺をつぎのようにかきかえる(図5.1).−−→OP=⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=(υ1υ2)⎛⎜⎜⎜⎜⎝st⎞⎟⎟⎟⎟⎠.(5.3)これに(υ1υ2)の逆行列をかければ(υ1υ2)−1⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=⎛⎜⎜⎜⎜⎝st⎞⎟⎟⎟⎟⎠(5.4)を得る.(5.4)が新しい座標をあたえる座標変換の公式である.Oyθfθ2ye2e1fθ1P−−→OPxxθθOyθyxxθ−θ図5.2. (fθ1fθ2)=R(θ)で定まる座標系.新しい座標xθ,yθは,もとの座標x,yからR(θ)−1倍(逆回転)で得られる.例1. 基本ベクトルe1,e2を角θだけ回転して得られるベクトルをfθ1,fθ2とし,これらを使って新しい座標を定める.−−→OP=xe1+ye2である点Pの新しい座標をxθ,yθとかくことにすれば,−−→OP=⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=(fθ1fθ2)⎛⎜⎜⎜⎜⎝xθyθ⎞⎟⎟⎟⎟⎠である((5.3)式).(fθ1fθ2)は回転行列だから,その逆行列は逆回転であたえられ,⎛⎜⎜⎜⎜⎝xθyθ⎞⎟⎟⎟⎟⎠=R(−θ)⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=⎛⎜⎜⎜⎜⎝cosθsinθ−sinθcosθ⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠.Allrightsreserved,OkadomeLab.

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