69第5章固有値と固有ベクトル5.1座標変換これまでは,平面上の点全体の集合をVとかいてきた.この章では,実数のあつまりである数直線をRで表わし,平面上の点全体の集合をR2とかくことにする.ただし,この表記のもとでは,Rは,たし算とかけ算が定義された実数全体の集合を表わし,R2=R×Rは,2つの実数の組(xy)を2次元ベクトルとみて,ベクトルどうしのたし算と,実数とベクトルのかけ算が定義された集合{(xy)|xy∈R}を表わす.υ1とυ2をそれぞれ2次元のベクトルとする.このときυ1とυ2をならべてできる2次正方行列A=(υ1υ2)の行列式|A|=(υ1υ2)が0でないとしよう.υ1,υ2は平行四辺形を定め,これをしきつめて平面R2にひとつの座標系が定まる(図5.1).点の位置を特定するための数の組が座標であるが,原点Oを固定した上で,一般の点Pの位置ベクトルを−−→OP=sυ1+tυ2(5.1)と表わす係数の組(s,t)をPの新しい座標と考えるわけである.これをυ1,υ2で定まる点Pの座標とよぼう.Oe2yυ2tυ2tυ1e1Psυ1sx∣∣∣υ1υ2∣∣∣⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=(υ1υ2)⎛⎜⎜⎜⎜⎝st⎞⎟⎟⎟⎟⎠(υ1υ2)−1O1t1s(s,t)図5.1. ベクトルυ1,υ2が定める座標系と,その座標系での点Pの新しい座標.
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