第4章行列式61f(U)の面積を求めよう.υ1,υ2はとりあえず図4.1のような位置関係であるとする.そして,υ2のy成分の絶対値を高さにもち,x軸を底辺とするように面積がかわらないように変形して,「底辺×高さ」で面積を求める.それには,図の上の⋆の三角形を下の⋆の合同な三角形にもってくればよい.変形後の底辺の長さは,υ2の対辺を延長した直線lがx軸と交わる座標の絶対値である.直線lは,「原点をとおり方向ベクトルがυ2の直線をυ1だけ平行移動したもの」だから,その上の任意の点Q(x,y)は,ベクトルを用い−−→OQ=⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=υ1+tυ2=⎛⎜⎜⎜⎜⎝a+tbc+td⎞⎟⎟⎟⎟⎠(tは実数)と表わされる.したがってlがx軸と交わるときy座標は0であるからc+td=0となり,d0ならt=−cdとなる.これをx座標a+tbに代入してa−cdbとなる.また,(高さ)=∣∣∣(υ2のy成分)∣∣∣=|d|(dの絶対値)だからf(U)の面積=∣∣∣∣∣∣(a−cdb)·d∣∣∣∣∣∣=|ad−bc|であることがわかる.d=0のときも,f(U)の面積は底辺|b|で,高さ|c|の平行四辺形の面積として|bc|であるからつぎが成り立つ.定理4.1. 基本ベクトルe1,e2を2辺とする単位正方形の周と内部をUとする.線形写像fとその行列をAとすると,f(U)の面積=∣∣∣det(A)∣∣∣(行列式の絶対値).すなわち,行列Aで表わされる線形変換fは,単位正方形を,∣∣∣det(A)∣∣∣だけの面積をもつ平行四辺形にうつし,したがって種々の図形の面積もやはり∣∣∣det(A)∣∣∣倍にする.問1. 以下の行列で表現される線形変換によって単位正方形がうつされる平行四辺形の面積を求めよ.(1)⎛⎜⎜⎜⎜⎝1234⎞⎟⎟⎟⎟⎠. (2)⎛⎜⎜⎜⎜⎝3322⎞⎟⎟⎟⎟⎠. (3)⎛⎜⎜⎜⎜⎝2332⎞⎟⎟⎟⎟⎠.Allrightsreserved,OkadomeLab.
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