60第4章行列式4.1行列式の意味行列式の幾何的な意味を考えよう.ここでは数はすべて実数とする.2つのベクトルυ1=⎛⎜⎜⎜⎜⎝ac⎞⎟⎟⎟⎟⎠とυ2=⎛⎜⎜⎜⎜⎝bd⎞⎟⎟⎟⎟⎠をならべてできる行列A=(υ1υ2)=⎛⎜⎜⎜⎜⎝abcd⎞⎟⎟⎟⎟⎠が定める平面の1次変換をf:υ↦→Aυとする.第3.1節で示したように,υ1=Ae1,υ2=Ae2である.ただし,e1=⎛⎜⎜⎜⎜⎝10⎞⎟⎟⎟⎟⎠,e2=⎛⎜⎜⎜⎜⎝01⎞⎟⎟⎟⎟⎠である.いま,e1,e2を2辺とする単位正方形の周と内部からなるUを考えると,その面積は1である.この正方形Uのfによるうつり先(像)とその面積を求めよう.Uのfによる像をf(U)とかく.集合の記号を用いればf(U)={f(υ)∣∣∣υ∈U}={Aυ∣∣∣υ∈U}である.dを方向ベクトルとし,tを実数としたとき,行列Aで表現される線形変換による,直線υ+tdの像はAυ+tAdとなる.これはAdが零(ゼロ)ベクトル0でないかぎり直線を表わす.この線形変換により,υがちがうだけの平行な2直線υ+td,υ′+tdは,それぞれAυ+tAd,Aυ′+tAdという平行な2直線にうつされる.単位正方形Uについても,辺の方向ベクトルe1の像Ae1=υ1とAe2=υ2が一直線上になければ,Uの2組の対辺は2組の平行な線分にうつる.したがってこのとき,f(U)は平行四辺形の周と内部となる(図4.1).✲✻✻✲Oe11xe21yUA−−−−−−→✲✻✍✶Ocdybυ2axυ1a−cbdlf(U)⋆⋆図4.1. A=(υ1υ2)で表現される線形変換による図形の像.Allrightsreserved,OkadomeLab.
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