線形代数入門
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第3章線形変換473.3線形変換による図形の移動線形変換fの行列をAとし,任意の点(x,y)のfのもとでの像を点(x′,y′)とする.すなわち,⎛⎜⎜⎜⎜⎝x′y′⎞⎟⎟⎟⎟⎠=A⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠.(3.1)行列Aが逆行列A−1をもてば,(3.1)の両辺に左からA−1をかけて,両辺をいれかえると⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=A−1⎛⎜⎜⎜⎜⎝x′y′⎞⎟⎟⎟⎟⎠(3.2)となる.等式(3.1)と(3.2)は等価である.それゆえ,平面上のどの点(x,y)もただ1つの点(x′,y′)の像である.この事実を一般化するとつぎの定理を得る.定理3.3. 線形変換fの行列が逆行列をもてば,fのもとで,平面全体が平面全体にうつされ,ことなる2点はことなる2点にうつされる.問1. 線形変換の行列が⎛⎜⎜⎜⎜⎝1234⎞⎟⎟⎟⎟⎠である線形変換のもとで点(7,5)へうつされる点をみつけよ.次章「行列式」で詳しく述べるが,線形変換fの行列が逆行列をもたない場合は,その行列が零(ゼロ)行列でなければ,fのもとで平面全体は原点をとおる1本の直線上にうつされる.例1. 線形変換fの行列を⎛⎜⎜⎜⎜⎝2142⎞⎟⎟⎟⎟⎠とする.この行列には逆行列が存在しない.このfのもとで点(x,y)は,点(x′,y′)にうつされるとすると⎧⎪⎪⎪⎨⎪⎪⎪⎩x′=2x+y,y′=4x+2yである.それゆえ,y′=2x′が成り立つ.このことから,fのもとで,平面全体は直線y=2xにうつされることがわかる(図3.9).Allrightsreserved,OkadomeLab.

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