線形代数入門
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44第3章線形変換への対応づけとみなすことができる.この対応づけは,p′=f(p)(あるいは−→p′=f(−→p))と表現される.また対応づけであることを強調して写像の表記でf:p↦→p′とも表現される.この対応づけにおいて,ベクトルp′は,fのもとでのベクトルpの像とよばれる.問1. 線形変換fの行列を⎛⎜⎜⎜⎜⎝abcd⎞⎟⎟⎟⎟⎠としたとき,基本ベクトルe1=⎛⎜⎜⎜⎜⎝10⎞⎟⎟⎟⎟⎠とe2=⎛⎜⎜⎜⎜⎝01⎞⎟⎟⎟⎟⎠の像はそれぞれe′1=⎛⎜⎜⎜⎜⎝ac⎞⎟⎟⎟⎟⎠とe′2=⎛⎜⎜⎜⎜⎝bd⎞⎟⎟⎟⎟⎠であることを示せ.問2. 線形変換fのもとでの基本ベクトルe1とe2の像がそれぞれ⎛⎜⎜⎜⎜⎝21⎞⎟⎟⎟⎟⎠と⎛⎜⎜⎜⎜⎝−13⎞⎟⎟⎟⎟⎠であるとき,fの行列を求めよ.線形変換fを1つのベクトルからほかのベクトルへの対応づけとみなしたとき,つぎの性質,すなわち線形変換の線形性が成り立つ.線形変換の線形性定理3.2. fを線形変換とする.このとき以下が成り立つ.(I)f(p1+p2)=f(p1)+f(p2).(II)f(kp)=kf(p),ただし,kは定数.証明. 線形変換fの行列をAとする.そのとき,f(p1+p2)=A(p1+p2)=Ap1+Ap2=f(p1)+f(p2).f(kp)=A(kp)=kAp=kf(p).証明終わり.Allrightsreserved,OkadomeLab.

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