線形代数入門
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第2章逆行列と連立1次方程式29とおけば∗Ax=p.(2.4)連立方程式(2.3)をとくことは,(2.4)を満たすベクトルxを求めることである.Aの逆行列A−1が存在する場合には,(2.4)の両辺に左からA−1をかければA−1(Ax)=A−1pとなり,この式の左辺をA−1(Ax)=(A−1A)x=Ix=xと変形すればx=A−1p.(2.5)逆に,(2.4)の左辺のxにA−1pを代入するとA(A−1p)=(AA−1)p=Ip=pとなり,(2.5)が(2.4)を満たすことがわかる.例題. 前ページの方法によって,つぎの連立1次方程式をとけ.⎧⎪⎪⎪⎨⎪⎪⎪⎩x−2y=−1,2x+3y=12.[解] あたえられた方程式は⎛⎜⎜⎜⎜⎝1−223⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝xy⎞⎟⎟⎟⎟⎠=⎛⎜⎜⎜⎜⎝−112⎞⎟⎟⎟⎟⎠と表わされる.A=⎛⎜⎜⎜⎜⎝1−223⎞⎟⎟⎟⎟⎠とおけば1·3−(−2)·2=70.∗ベクトルは行列の特別な場合であるが,しばしば一般の行列と区別して,このように太文字の小文字で表わすことがある.Allrightsreserved,OkadomeLab.

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