25第2章逆行列と連立1次方程式2.1逆行列行列の加法,減法,乗法について1章で学んだが,行列の除法はできるであろうか.2×2型の行列について考えよう.数の演算では,aでわることはaの逆数をかけることとおなじであり,数aの逆数とはab=ba=1を満たす数bであった.そこで,2×2型の行列Aに対してAB=BA=I (Iは単位行列)を満たす行列Bが存在するならば,BをAの逆行列といい,A−1という記号で表わす.すなわちAA−1=A−1A=I.例1. ⎛⎜⎜⎜⎜⎝2132⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝2−1−32⎞⎟⎟⎟⎟⎠=⎛⎜⎜⎜⎜⎝1001⎞⎟⎟⎟⎟⎠,⎛⎜⎜⎜⎜⎝2−1−32⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝2132⎞⎟⎟⎟⎟⎠=⎛⎜⎜⎜⎜⎝1001⎞⎟⎟⎟⎟⎠であるから⎛⎜⎜⎜⎜⎝2−1−32⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝2132⎞⎟⎟⎟⎟⎠−1.2次の正方行列A=⎛⎜⎜⎜⎜⎝abcd⎞⎟⎟⎟⎟⎠について,逆行列を求めてみよう.
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