線形代数入門
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100付録C ジョルダン標準形数分解した(C.2)の形でとらえると納得しやすい.以下ではこれを説明しよう.まずA=⎛⎜⎜⎜⎜⎝λ00µ⎞⎟⎟⎟⎟⎠(対角行列)のときを考える.PA(t)=(t−λ)(t−µ)でありpA(A)=(⎛⎜⎜⎜⎜⎝λ00µ⎞⎟⎟⎟⎟⎠−λI)(⎛⎜⎜⎜⎜⎝λ00µ⎞⎟⎟⎟⎟⎠−µI)であるが,この積がOになるのは明らかである.すなわち,pA(A)=⎛⎜⎜⎜⎜⎝000µ−λ⎞⎟⎟⎟⎟⎠⎛⎜⎜⎜⎜⎝λ−µ000⎞⎟⎟⎟⎟⎠=O.(C.7)Aが対角行列でないときもΛ=P−1AP=⎛⎜⎜⎜⎜⎝λ00µ⎞⎟⎟⎟⎟⎠ と対角化できれば,やはり同様である.実際I=PIP−1, A=PΛP−1, A2=PΛ2P−1を使えばpA(A)=pA(PΛP−1)=PpA(Λ)P−1.(C.8)そして下の補題で示すようにpA(t)=pΛ(t)なので,対角行列のときのpΛ(Λ)=Oより,この場合にもpA(A)=Oとなる.座標をとりかえ対角化すれば「当たり前」の(C.7)を,対角化する前の行列でかいたのが(C.1)である.補題. A=PΛP−1ならばpA=pΛ.つまり固有方程式は座標系によらない.証明. A=PΛP−1よりA−tI=PΛP−1−tI=P(Λ−tI)P−1とかきなおせるので,行列式の乗法性を用いればpA(t)=∣∣∣A−tI∣∣∣=∣∣∣P(Λ−tI)P−1∣∣∣=∣∣∣P∣∣∣·∣∣∣Λ−tI∣∣∣·∣∣∣P−1∣∣∣=∣∣∣Λ−tI∣∣∣=pΛ(t).Allrightsreserved,OkadomeLab.

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